こんにちは。りっちゃんです。
今回は、「機械設計」職種に関連する資格の一つ「CAD利用技術者」についてまとめてみました。
「CAD利用技術者」資格は、コンピュータを用いて設計図面を作成する技術「CAD(Computer-Aided Design)」に関する知識とスキルを証明するための資格です。
この資格は、特に製造業や建築業、土木業といった分野で、CADを活用する技術者にとって非常に有用です。
資格を取得することで、CADの基本的な操作方法から高度な設計手法までの幅広い知識を体系的に学び、業務に役立てることができます。
「機械設計」の分野でキャリア形成を目指している方は、成長の助けとして「CAD利用技術者」資格取得を目指されてはいかがでしょうか?
ポイント
◎資格区分:民間資格
◎試験日:年1回
三次元CAD利用技術者:
二次元CAD利用技術者:
◎合格発表日:
二次元CAD利用技術者試験
1級:前期 6月、後期 11月
2級:通年
基礎:通年
三次元CAD利用技術者試験
1級:前期 7月、後期 12月
準1級:前期 7月、後期 12月
2級:通年
◎合格発表日:
二次元CAD利用技術者試験
1級:前期は8月中旬、後期は翌年1月中旬
2級:試験終了後、即時発表
基礎:試験終了後、即時発表
三次元CAD利用技術者試験
1級:前期は8月下旬、後期は翌年1月下旬
準1級:前期は8月下旬、後期は翌年1月下旬
2級:試験終了後、即時発表
◎合格率:(2023年)
二次元CAD利用技術者:
1級(トレース):前期48.57%、後期35.29%
1級(建築):前期38.71%、後期46.38%
1級(機械):前期50.68%、後期31.07%
2級:54.87%
基礎:73.12%
三次元CAD利用技術者:
1級:前期35.19%、後期25.56%
準1級:前期70.09%、後期36.34%
2級:68.35%
◎資格保有者の強み:
三次元CAD利用技術者:三次元空間でのものづくりの思考力を証明できる。
二次元CAD利用技術者:二次元空間でのものづくりの思考力を証明できる。
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「CAD利用技術者」とは?
ここでは「CAD利用技術者」についてまとめています。
まずはCAD利用技術とはどんな資格で、どのように取得するのかを見ていきましょう。
CAD利用技術者
CAD利用技術者は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)が主催する民間資格です。
CADの技術、知識を問う資格試験になります。
CAD利用技術者試験には、以下の種類があります。
・二次元CAD利用技術者試験 1級(建築、機械、トレース)、2級、基礎
・三次元CAD利用技術者試験 1級、準1級、2級
機械だけでなく、CADを扱う建築業界などでも活用できる資格です。
この資格を取得することで、技術者としての実力を客観的に証明できるため、就職やキャリアアップにおいてアドバンテージとなります。
また、資格取得の過程で習得する知識や技術は、日常の業務においても即戦力となるため、現場での実務に直結したスキルを磨くことができます。
【三次元CAD利用技術者試験】
三次元CAD を利用するエンジニアや学生が身につけておくべき知識と技能が証明できる、三次元CAD試験制度です。【二次元CAD利用技術者試験】
一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)
CADを利用するための知識を持ち、さらに図面を正しく理解してCADを利用した作図を効率的にこなすことができる技能を証明できる試験制度です。
受験者の投稿
基本情報
受験資格
・二次元CAD利用技術者試験
1級:2級または1級有資格者
2級:なし
基礎:なし
・三次元CAD利用技術者試験
1級:2級または1級、準1級有資格者
準1級:2級有資格者
2級:なし
受験期間
・二次元CAD利用技術者試験
1級:前期 6月、後期 11月 →合格発表:前期は8月中旬、後期は翌年1月中旬
2級:通年 →合格発表:試験終了後、即時発表
基礎:通年 →合格発表:試験終了後、即時発表
・三次元CAD利用技術者試験
1級:前期 7月、後期 12月 →合格発表:前期は8月下旬、後期は翌年1月下旬
準1級:前期 7月、後期 12月 →合格発表:前期は8月下旬、後期は翌年1月下旬
2級:通年 →合格発表:試験終了後、即時発表
受験場所
・二次元CAD利用技術者試験
1級:全国主要都市にある指定会場
2級:全国にある専用のCBT試験会場で実施
基礎:インターネットを利用した随時試験 ※自宅受験可
・三次元CAD利用技術者試験
1級:全国主要都市にある指定会場
準1級:全国主要都市にある指定会場
2級:全国にある専用のCBT試験会場で実施
受験費用
・二次元CAD利用技術者試験
1級:16,500円(税込)※過去の1級有資格者は11,000円(税込)
2級:6,050円(税込)
基礎:4,400円(税込)※認定会場は2,750円(税込)
・三次元CAD利用技術者試験
1級:16,500円(税込)※過去の1級・準1級有資格者は11,000円(税込)
準1級:11,000円(税込)
2級:7,700円(税込)
検定内容
【二次元CAD利用技術者試験】
1級(機械・建築・トレース)は、実技試験+筆記試験にて合否が出ます。
2級と基礎は筆記試験のみで、基礎についてはCADソフトも使用しません。
【三次元CAD利用技術者試験】
1級と準1級は、実技試験のみで合否が出ます。
2級は筆記試験のみで、CADソフトも使用しません。
【二次元CAD利用技術者試験】
<1級・機械>
●実技試験:機構部品の作図、適切な数値からの作図、投影図からの作図
●筆記試験:機械製図の知識
<1級・建築>
●実技試験:PC造または木造
●筆記試験:建築製図の基礎知識、建築生産の電子情報
<1級・トレース>
●実技試験:編集・レイヤ設定能力、トレース能力、投影能力
●筆記試験:製図の知識
※合格基準:実技試験と筆記試験が各5割以上、および総合が7割以上
<2級>
●CADシステム分野:CADシステムの概要と機能・基本機能・運用/管理/課題、CADの作図データ、CADシステムとハードウェア・ソフトウェア、ネットワークの知識、情報セキュリティと知的財産、三次元CADの基礎知識
●製図分野:製図一般、製図の原理と表現方法、製図における図形の表現方法
※合格基準:各分野5割以上、および総合が7割以上
<基礎>
●CADシステムの知識と利用
●CADシステムのプラットフォーム
●製図の基礎
●図形
※合格基準:総合7割以上
【三次元CAD利用技術者試験】
<1級>
●CADリテラシー、形状認識能力分野
●アセンブリモデリング能力分野
●二次元図面からのパーツモデル作成能力分野
※合格基準:各分野5割以上、および総合7割以上
<準1級>
●CADリテラシー、形状認識能力分野
●二次元図面からのパーツモデル作成能力分野
※合格基準:各分野5割以上、および総合7割以上
<2級>
●三次元CADの概念分野
●三次元CADの機能と実用的モデリング手法分野
●三次元CADデータの管理と周辺知識分野
●三次元CADデータの活用分野
※合格基準:各分野5割以上、および総合7割以上
合格率
合格率は以下の通りです。
二次元および三次元CAD利用技術者試験のデータを総合すると、合格率は級や年度によって大きく変動しています。
特に1級の試験は二次元、三次元ともに難易度が高く、合格率が低い傾向にあります。
一方で、2級および基礎の試験は比較的合格しやすい水準にあり、特に基礎試験は合格率7割以上となっています。
二次元CAD利用技術者
<1級>
二次元CAD利用技術者1級の試験は、3つの分野(トレース、建築、機械)で行われています。
2022年と2023年のデータを見ると、以下のような傾向が見られます。
- トレース:2022年度前期(71.43%)の合格率が最も高く、2023年度後期(35.29%)が最も低い。年度ごとに合格率の変動が大きい。
- 建築:2023年度後期の合格率は46.38%で、他の年度の合格率よりやや高い水準にあるが、2022年度前期(35.54%)のように低い場合もある。
- 機械:合格率はおおむね30~50%台で推移しており、2023年度後期(31.07%)が最も低い。一方で2023年度前期(50.68%)は比較的高い。
総じて、1級試験の合格率は分野によって異なり、トレース分野は他の分野と比べて年度による変動が大きいです。
合格率が高い年度もあるが、全体的に50%以下の難関試験となっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年度後期(トレース) | 34 | 12 | 35.29% |
2023年度後期(建築) | 138 | 64 | 46.38% |
2023年度後期(機械) | 206 | 64 | 31.07% |
2023年度前期(トレース) | 35 | 17 | 48.57% |
2023年度前期(建築) | 93 | 36 | 38.71% |
2023年度前期(機械) | 148 | 75 | 50.68% |
2022年度後期(トレース) | 37 | 20 | 54.05% |
2022年度後期(建築) | 139 | 76 | 54.67% |
2022年度後期(機械) | 198 | 70 | 35.35% |
2022年度前期(トレース) | 42 | 30 | 71.43% |
2022年度前期(機械) | 50 | 25 | 50.00% |
2022年度前期(建築) | 166 | 59 | 35.54% |
<2級>
二次元CAD利用技術者2級は、2021年から2023年までほぼ一貫して合格率が50%前後で推移しています。
2023年の合格率は54.87%であり、過去3年間の中では最も高いものの、大きな変動は見られません。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年 | 3532 | 1938 | 54.87% |
2022年 | 3778 | 1978 | 52.36% |
2021年 | 4367 | 2283 | 52.28% |
<基礎>
二次元CAD利用技術者基礎の試験では、合格率が高い傾向にあります。
2021年から2023年にかけて、合格率は71.29%から82.07%の範囲で推移しており、他の級と比較して合格率が安定して高いことが分かります。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年 | 558 | 408 | 73.12% |
2022年 | 613 | 437 | 71.29% |
2021年 | 541 | 444 | 82.07% |
三次元CAD利用技術者
<1級>
三次元CAD利用技術者1級の試験では、受験者数が少なく、合格率が非常に低いのが特徴です。
2023年後期の合格率は25.56%、2022年後期も25.25%と低い水準にとどまっており、合格率が非常に難関であることが示されています。
2023年前期の35.19%や2022年前期の57.67%と比べると年度間での差が大きく、試験の難易度や受験者の質が影響している可能性があります。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年後期 | 266 | 68 | 25.56% |
2023年前期 | 216 | 76 | 35.19% |
2022年後期 | 198 | 50 | 25.25% |
2022年前期 | 215 | 124 | 57.67% |
<準1級>
準1級の試験では、2022年から2023年にかけて合格率が上昇傾向にあります。
2023年前期には70.09%の高い合格率を記録しており、他の年度と比較しても難易度がやや低下したと考えられます。
受験者数は減少傾向にあるものの、合格率の上昇が目立ちます。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年後期 | 333 | 121 | 36.34% |
2023年前期 | 214 | 150 | 70.09% |
2022年後期 | 371 | 228 | 61.46% |
2022年前期 | 196 | 111 | 56.63% |
<2級>
三次元CAD利用技術者2級では、合格率が比較的高く、2023年の合格率は68.35%と、前年の65.64%よりもわずかに上昇しています。
2021年の合格率(44.68%)と比較しても大幅に増加しており、試験の内容がより理解しやすくなったか、受験者の準備状況が改善された可能性があります。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年 | 2316 | 1583 | 68.35% |
2022年 | 2611 | 1714 | 65.64% |
2021年 | 3017 | 1348 | 44.68% |
「CAD利用技術者」の勉強方法
CAD利用技術者の資格取得のためにはどのように勉強をしたら良いのでしょうか?
公式ホームページの過去問題を解く
一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)の公式ホームページにて、各試験の出題方法や解答方法を確認いただくためのサンプル問題が公開されています。
解答は含まれていないので、ご注ください。
参考書で学ぶ
参考書を購入し、独学で勉強することも可能です。
「CAD利用技術者試験公式ガイドブック」シリーズ(コンピュータ教育振興協会(著))
「CAD利用技術者試験」を主催しているコンピュータ教育振興協会の公式ガイドブック(学習書)です。
3次元公式ガイドブックは1~2級のすべてに対応している書籍が発売されており、2次元公式ガイドブックは1級と2級・基礎、ジャンルでそれぞれ書籍が異なっています。
全くのCAD初心者には少し難しいかもしれませんが、試験の概要や過去試験・サンプル試験などが掲載されています。
「CAD利用技術者試験 テキスト&問題集」シリーズ(吉野 彰一 (著, 編集))
「CAD利用技術者試験」の超定番対策書です。
私が調べた限りでは、三次元のテキストは見つからなかったため、二次元試験を受ける方用です。
読みやすくポイントを押えた説明や、図や写真が豊富&2色で見やすいため、CAD初心者の方はこちらの方がオススメです。
オンライン学習サービスで学ぶ
独学で学ぶのには限界があると感じている方には、オンライン学習サービスを利用するという選択肢もあります。
e-Groove(イー・グルーブ)
e-Groove(イー・グルーブ)は自宅でCADを学べるオンライン講座(通信講座)です。
20~40代の利用者が多いですが、高齢の方の受講も多いです。
また、女性の方の講座取得者も多く、自宅学習なので家庭との両立もしやすいのが特徴です。
低価格で2D/3DCADのスキル習得のための講座を受けられます。
JWCADやAutoCADはもちろん、今話題の3DCAD「Fusion」も学べます。
受講期間が終わっても「サブスク延長」に申し込むことで受講を継続出来、同講座のすべてのオンライン教材が利用可能です。
「CAD利用技術者」資格保有者のキャリアパス
「CAD利用技術者」の資格を取得した後のキャリアパスは、個人の経験や目標によって異なることがあります。
以下に一般的なキャリアパスの一例をご紹介します。
CADオペレーター
CADオペレーターは、コンピュータを使用して設計図や図面を作成する専門職です。
AutoCAD、SolidWorks、RevitなどのCADソフトウェアを使用して、建築、機械、電気、土木などの分野で設計図を作成・修正します。
設計者から提供される設計データや指示に基づいて図面を作成することがミッションなので、複雑な機械設計の知識がなくても、CADの使用方法が理解できていれば務まることが多いです。
機械設計職を目指す方がまず任されることが多い職種です。
建築土木業界・機電系メーカーの営業事務
メイン業務は営業事務としての雑務でありながら、カンタンな作図や修正を任されることもあるポジションです。
事務+αの知見を磨くことが出来るため、事務職の中でも人気があります。
機械設計者
CADソフトウェア(AutoCAD、SolidWorks、CATIAなど)を使用して詳細な機械の設計図を作成するポジションです。
上流~下流工程まで作業は多岐に渡りますが、最初はCADオペレーターとして指示を受けながら設計作業にあたり、だんだんと独り立ちし、詳細設計からゆくゆくは顧客折衝・要件定義を行ったり、アイデアやコンセプト出しなどの上流工程へキャリアアップしていきます。
ゆくゆくはプロジェクトマネージャーなどプロジェクトの管理などにも携わるようになります。
建築設計士
建物や構造物の設計・計画を行う専門職です。
設計だけでなく、建築プロジェクトの全体管理や法規制の遵守など、多岐にわたる役割を担います。
リーダー・教育指導担当
CAD操作や設計に関する知識が一定身に付いた後、組織のリーダーや後輩指導などに携わっていただくこともあります。
これらは一般的なキャリアパスの例ですが、CAD利用技術者はCADを使った幅広い業界・職種で知識を活かす場面があります。
設計を極めるのか、一般職に加えてスキルを磨くのかによって、キャリアの方向性が変わってきますので、自分が5年後10年後どのようなキャリアを歩んでいたいのかを想像しながら、キャリアアップのためにどのようなスキルを身につけたほうが良いのかを考えるのが良いでしょう。